日本語の文字コード
美文書LaTeX(第9版 p.248)によると、 漢字の字体は康熙字典を正字とするのが伝統的だそうです。 その後、当用漢字、常用漢字が制定され、パソコンの普及に合わせて 文字コードも整備されていったようです。
- 1716年 康熙字典(こうきじてん)
約47000文字。 不統一・不適切な箇所あり。 世間には俗字・略字も多数あり。
- 1946年 当用漢字
1850文字。
- 1949年 当用漢字字体表
1850文字。
- 1951年 人名用漢字別表
92文字を追加。
- 1978年 情報交換用漢字符号系(JIS C6226)
6802文字。 78JIS
- 1981年 当用漢字に代わって常用漢字を制定
1945文字。 人名用漢字も追加され、新字体がさらに増加。
- 1983年 JIS C 6226改訂
6877文字。 83JIS。 多くの字の構成要素が新字体風に変更された。 78JISか83ISかによって字体が違うことになった。
- 1987年 JIS X 0208と改称
(文字数変わらず?)
- 1990年 JIS X 0208「情報交換用漢字符号」に改称
6879文字。
- 1997年 JIS X 0208「7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合」に改称
(文字数変わらず?) JISコード (ISO-2022-JP)、シフトJIS (CP932)、EUC-JPが生まれた
- 2000年 JIS X 0213「7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合」
11223文字。 JIS X 0208を大幅に拡張した。 JIS2000。 表外漢字字体表の改訂。
- 2004年 JIS X 0213改訂
(文字数増えた?) JIS2004。
- 2010年 常用漢字表の改訂
常用漢字だがシフトJISやEUC-JPで表現できない漢字が生まれてしまう。 Unicodeの利用に拍車がかかる。
Adobe-Japan1
Adobe-Japan1は Adobe Systems社のCIDフォントセットの規格のひとつです。 1990年代に策定され、日本語フォントの標準的なグリフ集合が 定められています。 日本語のOpenTypeフォントの標準的な文字セットになっています。
規格名 |
策定年 |
文字数 |
JIS規格 |
---|---|---|---|
AdobeJapan1-0 |
1990 |
8720 |
JIS X 0208:1983がベース |
AdobeJapan1-1 |
1994 |
9354 |
JIS X 0208:1990に対応 |
AdobeJapan1-2 |
1997 |
15444 |
JIS X 0212:1990に対応 |
AdobeJapan1-3 |
2000 |
20317 |
JIS X 0213:2000に対応 |
AdobeJapan1-4 |
2002 |
23058 |
JIS X 0213:2004に対応 |
AdobeJapan1-5 |
2004 |
23060 |
JIS X 0213:2004の修正 |
AdobeJapan1-6 |
2008 |
23058 |
JIS X 0213:2004の微修正 |
フォント名の記号とAdobe-Japn1の対応表
フォント名についているStd
やPro
、Pr6N
などの記号は、
対応している字形や文字数を表しています。
記号 |
AJ1 |
字形 |
JIS |
収録文字 |
---|---|---|---|---|
Std |
Adobe-Japan1-3 |
JIS90 |
JIS X 0208 |
第一・第二水準漢字 |
Pro |
Adobe-Japan1-4 |
JIS90 |
JIS X 0212 |
第一・第二水準漢字 + JIS補助漢字 |
ProN |
Adobe-Japan1-4 |
JIS2004 |
- |
JIS X 0212 + JIS2004字形 |
Pr6 |
Adobe-Japan1-5 |
JIS2004 |
JIS X 0213 |
第三・第四水準漢字 |
Pr6N |
Adobe-Japan1-6 |
JIS2004 |
- |
JIS X 0213 + 異体字拡張 |
記号の意味をいつも忘れてしまうのですが、 とりあえずAdobe-Japan1-6に対応しているフォントを選ぶようにすればOKです。
OpenTypeフォント
OpenTypeフォントはAdobeとMicrosoftが共同で開発したフォント形式です。 PostScript Type1フォント(Adobeが開発)と TrueTypeフォント(Appleが開発)を包含した、 後継となる形式です。
特徴 |
PostScript |
TrueType |
OpenType |
---|---|---|---|
開発元 |
Adobe |
Apple |
Adobe & Microsoft |
拡張子 |
|
|
|
アウトライン |
3次ベジェ曲線 |
2次ベジェ曲線 |
3次ベジェ曲線 |
品質 |
印刷向け |
シンプル |
DTP・デザイン向け |
拡張性 |
低い |
低い |
高い(リガチャ、異体字) |
PostScriptフォントは高品質な印刷向けの形式でしたが、 いまはAdobe製品でのサポートも終了し、非推奨な形式です。 現在はOpenTypeフォントへの移行が進んでいて、LaTeXでもOTFを使うのがオススメです。