# 物理量したい(``siunitx``) ```latex \usepackage{siunitx} \qty{数量}{単位} \unit{単位} ``` 物理量は、数値は斜体(イタリック)、単位は立体(ローマン)で書くことになっています。 標準の数式モードでも書けますが、記述量が増えてしまいます。 `siunitx`パッケージを使うと、そんな物理量が簡単に書けてしまいます。 物理量(`\qty`)や単位(`\unit`)のほかに、 数値(`\num`)、角度(`\ang`)、複素数(`\complexnum`)などのコマンドが定義されています。 SI基本単位系はもちろん、`\micro`や`\nano`などのSI接頭辞、`\ohm`や`\hertz`など組み立て単位なども定義されています。 詳細はドキュメントを参照してください(`$ texdoc siunitx`) ```latex \usepackage{physics} \usepackage{siunitx} \AtBeginDocument{\RenewCommandCopy\qty\SI} ``` `\qty`コマンドは、[physicsパッケージ](./latex-physics.md)と干渉します。 `physics`パッケージの`\qty`は`\pqty`コマンドで代用(というかこちらのほうが個人的に推奨)できるため、 `siunitx`を優先するように置き換えます。 ## 物理量したい(`\qty`) ```latex SuperKEKB加速器は周長が約\qty{3}{\km}の加速器です。 Belle II 測定器は重さが約\qty{1400}{\tonne}、縦横高さがそれぞれ約\qtyproduct{8 x 8 x 8}{\meter}の巨大な装置です。 \qty{7}{\GeV}の電子ビームと\qty{4}{\GeV}の陽電子ビームを衝突させ、大量のB中間子を生成します。 ``` `\qty{数値}{単位}`コマンドで物理量をお手軽に表現できます。 単位は国際単位系(SI単位系)とその組立単位、また非SI単位系ですが慣習的に使っている単位などが利用できます。 :::{note} ドキュメントを確認すると v2では`\SI`と`\si`コマンドでしたが、 v3からはそれぞれ`\qty`と`\unit`にしたそうです。 以前のコマンドはまだ使えるようですが、新しい文書には 新しいコマンドを使うとよいと思います。 ::: ## パーセントしたい(`\percent`) ```latex % エスケープが必要 30\% % 表記ゆれがなくなる \qty{30}{\percent} ``` パーセント記号も単位として用意されています。 エスケープする必要がなくなってよいと思います。 ## 電子ボルトしたい(`\unit`) ```latex % 単位名 \unit{\electronvolt} \unit{\megaelectronvolt} \unit{\gigaelectronvolt} \unit{\teraelectronvolt} % 省略した単位名 \unit{\eV} \unit{\MeV} \unit{\GeV} \unit{\TeV} ``` 「電子ボルト(``eV``)」は非SI単位系ですが、慣例的に利用してもよい単位のひとつです。 素粒子物理学で使うエネルギーの単位で、メガ(``M``)、ギガ(``G``)、テラ(``T``)の接頭辞と合わせることが多いです。 これらの接頭辞も含めて、話し言葉で使うような流れで表現できるようになっています。 ## 組立単位したい ```latex % メートル \unit{m} \unit{\meter} \unit{\metre} % キログラム \unit{kg} \unit{\kilogram} \unit{\kilo\gram} % 秒 \unit{s} \unit{\second} % アンペア \unit{A} \unit{\ampere} % ニュートン \unit{\newton} \unit{kg.m.s^{-1}} \unit{\kilogram \meter \per\second} \unit[per-mode=symbol]{\kilogram \meter \per\second} ``` ひとつの単位に対して、表示するためのマクロは複数あります。 執筆時にソースが読みやすくなるように、使い分けるのがよいと思います。 詳しくは``texdoc siunitx``してドキュメントを参照してください。 ## 指数したい(`\num`) ```latex % 数式モードを使った場合 $6.02 \times 10^{23}$ % siunitxを使った場合 \num{6.02e23} ``` 指数表示は``e``(や``E``、``d``、``D``)を使った方法で記述できます。 通常の数式モードに比べて、はるかに簡単です。 ## 掛け算したい(`\qtyproduct`) ```latex % 数式モード $1.6 \text{cm} \times 2.3 \text{cm} \times 3.4 \text{cm}$ % siunitx \qtyproduct{1.6 x 2.3 x 3.4}{\cm} ``` ``\qtyproduct``を使って、連続する物理量の掛け算を表示できます。 数式モードの場合、掛け算の記号を表示するために``\times``が必要ですが、``siunitx``の場合は``x(エックス)``でOKです。 また、単位を``\text``で書く必要もありません。 ## べき乗したい ```latex % 2乗 \unit{m^{2}} \unit{\square\meter} \unit{\meter\squared} % 3乗 \unit{m^{3}} \unit{\cubic\meter} \unit{\meter\cubed} % N乗 \unit{\meter\tothe{N}} \unit{\raiseto{N}\meter} ``` 単位に2乗(``\square``)や3乗(``\cubic``)をつけるためのマクロも定義されています。 また、任意のべき乗を指定できるマクロもあります。 英語で物理量を説明するのに合わせて設計されているようで、 単位の前につけるか、後につけるか、マクロ名が変化します。 ## 表組したい(`S[table-format]`) ```latex \begin{table} \caption{測定データ} \begin{tabular}[S[table-format=3.2] S[table-format=3.1]] \toprule { 長さ (cm)} & {質量 (kg)}\\ \midrule 12.34 & 5.6\\ 123.45 & 45.6\\ 1.23 & 0.9\\ \bottomrule \end{tabular} \end{table} ``` `S`列で表中の数値を揃えることができます。 `table-format`オプションで揃えたい桁数を指定できます。